田舎の村のバッテリー充電屋

1994-06-18

 元気ですか。少し手紙を書く間があいてしまいましたが、別に何かあったというわけではありません。そちらにも届いていると思いますが、急に思いついて日本の皆様あてに手紙を書きコピーし、年賀状代わりに(半年遅れですが)郵送したのです。また前回のように何人かの人にまとめて送ったのですが、親戚関係はそういうわけにいかず、宛名書きに時間をとられていたのです。

 仕事のほうは、ますます名前が売れてきたようで、今月に入ってから、一日中何も無かったという日はありません。毎日往診している犬も多く、どうしても日曜も行くことになってしまいます。往診の件数も少なく、たいした病気の子もいないので、今日はサボって一日寝ていようかななどと思っている日に限って、急患が入ります。

 いつもお昼を食べるカオピヤック屋にいても、「ここにいると聞いた」などといってお迎えが来てしまいます。まったく気の休まる間が無く、少し困っています。

 病気が治ると、薬代の他にお金をくれたりするので、なんだか申し訳無いような気もしてしまいます。いらないと言っても、こちらの習慣だからなどと言って、ポケットに入れられてしまうのでつい貰ってしまいます。額はたいしたこと無いのですが、協力隊でやって来てお金なんてもらっても良いのかななどと考えてしまいます。もっとも、貰ったお金は、職場の人達で分配しているので、皆は大喜びです。

 犬の専門家というイメージが強くなりすぎ、毎日本当に犬ばかり診察しています。ラオ人も一緒につれて回って、技術を教えようとも思うのですが、彼らは彼らなりに書類書きなどの仕事があり、いつも一緒に回るというわけにはいきません。それに腰が重いというか、すぐ行かなければいけない場合にも、なぜがぐずぐずしてすぐ動こうとしません。一人で回った方がはるかに効率が良いので、つい一人で往診に行く事も多くなってしまいます。

 そんな風に仕事をしていると、確かに街の人たちには喜ばれるのですが、今は良いけど私が帰った後いったいどうなってしまうのだろうと考え、ふと虚しさを感じてしまう時もあります。でもまあ、同僚の人たちも治療法などには興味があるらしく、結構熱心に聞いてきたりもしますので、以前よりは良くなってきたのかななんて思ったりもしています。

 こう書くと忙しすぎて体を壊すのでは…なんて思うかもしれませんが、そんな心配は無用です。毎日の出勤はまったくルーズで、重役出勤。何かあったときには迎えが来ます。以前のように仕事もないのに事務所でボーとしているなんてことは無く、仕事だけはやるという体制にしているので、自由といえばこれほど自由な立場はありません。

 そろそろまた旅行でもしたいなと思っているのですが、S君のマラリア騒ぎで、無断で旅行した事が事務所にバレてしまい、しばらくの間旅行は控えるようにという手紙が事務所から来てしまいました。でも、来月の末には、また定期健康診断がありタイに行けるのですから、しばらくおとなしくしていようかなと思っています。

 ラオス隊は病気続きです。ヴィエンチャンのSさんT君が検査のために一時帰国した後、今度はシェンカンのS君(23才。森林)が一時帰国してしまいました。何でも、ふと気づくと意識を失う事があり、何度か倒れたのだそうです。たいした事が無ければ良いのですが、心配です。

 サバナケットではS君のマラリアの後、Aさん、Mさんが立て続けに熱を出して寝込みましたが、たいした事は無く1・2日で回復しました。幸い私はどこも悪い所は無く、人の看病や心配をしているせいか、かえって調子が良いくらいです。

 今日はS君のおごりで、タイ風スキヤキの店で全快祝い。ちょうどTもパクセーから遊びに来ました。今晩はきっと麻雀でしょう。

 と書いていると、さっそくお誘いが掛かかってしまいました。きりも良いようなので、今回はこのへんで。

 それではまた、お元気で。

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