センサバイ屋上から見たメコン川

1994-11-20

 元気ですか。今日はちょっと気分を変えて、ワープロで書いてみることにします。

 日本にいた時も家にワープロはありましたが、年賀状印刷くらいにしか使っていなかったように思います。手紙も文章もほとんど書いていなかったのですから、当然と言えば当然です。ラオスに来てからの方が、手紙や文章を良く書いていますし、ワープロやパソコンを良く使っているのですから、おかしなものです。

 ワープロの手紙は、心がこもっていないようで嫌だという人もいるようです。手書きの方が、その人のためだけに書いたという気がするという人もいます。その気持ちも、わからないこともありません。こうして手紙を書いていても、少しいつもと違う気分がしてしまいます。

 ワープロの場合、文章と文章の間に変換という作業が入ります。この時間が曲者のような気がします。特に今使っているワープロは、帰国したYさんが、『メコン』の編集用にといってくれた、かなりの年代もの。変換に時間が掛かり、見ていていらいらすることもあります。その上、フロッピー機能が壊れてしまい、文章を記憶させておくこともできません。

 変換に時間が掛かるので、ひとつの文を書いてから次の文を書くまでの間に、時間が空いてしまいます。その空いた時間を感じさせないほど早く入力できれば良いのでしょうが、私にはできません。ついその空いた時間に、余計なことを考えてしまいます。

 その上、このワープロって奴は、変換キーを押すと、たまにとんでもない文字に変換されることがあります。ついその文字から連想し、またまた余計なことを考えてしまったりするのです。

 そんな風に出来上がった文章ですから、後で読み返すと一つ一つの文につながりがなかったりすることも多々あります。最近は作家の人でもワープロで原稿を書いている人も多いようですが、そんな悩みは感じていないのでしょうか。

 それに、いくらワープロが小さくなったとはいえ、普通の人がいつでも持ち歩くにはわずらわしいように思います。その点、手書きならペン一本あればどこでも書けてしまうのですから気楽です。

 その反面、ワープロの利点もかなりあります。打った文章が活字で出てくるのですから、読む人も読みやすいし、間違いの訂正も容易です。手で書くのと違って気楽に書き始められますし、疲れません。文の変換には確かに時間が掛かりますが、手書きの時にも、辞書を引いたり、お茶を飲んだり、書く手を休めてボーとしたりするのですから、まあ似たようなものかもしれません。

 結局、ワープロが良いか手書きが良いかという問題には、結論は出そうもありません。用途に応じて使い分けるというのが正解かもしれません。

 と、ワープロひとつについて、すぐこれくらいの文章がでっち上げられてしまうのですから、こういったところがワープロの利点なのかもしれません。

《時代を感じさせる文章です。携帯でメールが送れる時代になろうとは思いもよらなかった時代のお話です》

 さて、昨日の土曜日は、パックボー(チャンディーの職場。市内から10kmくらいのところにある、魚の養殖場)で、朝からチャンディーの送別会がありました。30人以上の人が集まり、例によってバーシーもありました。

 その会を盛り上げるために、Sくん、Mさんと一緒に行き、餅つきをし、テンプラを揚げました。餅は、こちらにもぜんざいがあるので、その中に入れました。テンプラのほうも、日本と同じような材料が結構手に入ります。イカ、さつま芋、かぼちゃ、玉葱とニンジンのかき揚げなど、とてもおいしく出来上がりました。

 ラオ人は甘いものが好きですから、餅はもちろん好評でした。テンプラの方も、こちらに似たようなものがあるので、別に違和感はなかったようです。(もっとも、こちらのテンプラは、果物を揚げ、砂糖を入れて甘くしたお菓子のような物です)

 チャンディーがビールを3ケースも差し入れしたこともあって、会はかなり盛り上がりました。(もちろんいつものようにラオラオ−こちらの焼酎−は必ず出ます)チャンディーは普段お酒が一滴も飲めない体質なのですが、この日ばかりは飲まされてしまい、後半はただ座っているだけになってしまいました。

 特に後半、偉い人達が帰ってからは、飲めや歌えやのドンチャン騒ぎになってしまいました。こちらの言葉は、音程によって意味が違ったりします。そのためなのか皆歌がうまく、驚いてしまいました。

 チャンディーと私は同じ課の所属ですから、後半残った人達は、私にとっても顔なじみばかり。私も何曲か歌わされてしまいました。こういう時にうけるのは、谷村新司の歌った『昴』です。この歌は、タイ語でも歌われておりラオ人も知っていますから、皆で大合唱になりました。とにかく、大変面白い会でした。

 帰ってひと寝入りした後、夜は夜で、S君、Mさん、カンタボンと4人、ディスコに繰り出しました。チャンディーの送別会の二次会ということだったのですが、肝心のチャンディーは、慣れないお酒で気分が悪く不参加でした。

 カンタボンは結婚したばかり。奥さんにディスコに行くなどとはとても言えないらしく、今日は朝と夜の2回バーシーがあると言ってきたようでした。

 カンタボンが持ってきたタバコは、いつもと違うアーデンでした。私も吸っているラオス産のアーデンは300キープ、カンタボンがいつも吸っていたのは、サムハーという700キープのイギリス製タバコでした。結婚したら財布は奥さんに握られており、節約のためにアーデンを渡されるのだそうです。(もっとも、ディスコではサムハーを買って吸っていました)

 今日は、外で恥をかかないようにと、奥さんが1300バーツもくれたそうです。1300バーツといえば、こちらでは公務員の給料一月分の半分くらいです。なんて偉い奥さんでしょう。

 いくら偉い奥さんがいても、ディスコでは独身というのが常識らしく、ディスコでカンタボンの結婚式の話をしたら、後でカンタボンに怒られてしまいました。

 帰る時、口裏を合わせるためにバーシーの糸を巻いてやりました。

 昨日がそんな風だったので、今日は完全な二日酔い。日曜日なのを幸いに、1日中寝ていました。夜になってやっと回復し、こうして手紙を書いていますが、そろそろ終わりにしようと思います。

 それではまた、お元気で。

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