タイのタクシー
1994-07-16
元気ですか。こちらは雨期、曇り空が続いています。1日1回は雨が降りますが、日本の梅雨のようにシトシトと降り続ける事はなく、降るときは一度にどっと降ります。 先回の手紙に書いた中国雑貨屋の犬は、昨夜死亡しました。一昨日行った時には、熱も下がり、食欲も出てきたので、このまま治るかもしれないと思いました。ところが、これがジステンパーの怖いところ。昨日行ってみると神経症状が出ていました。全身痙攣を起こし、唾液は垂れ流しといった状態でした。 最後の望みを託して治療し、「今夜あたり危ないかもしれない」と言って帰ってきましたが、そのとおりになってしまいました。6匹いた犬のうち残りは2匹。月曜日にタイのムクダハンに行き、ワクチンを買って来ると言っていました。ワクチンの効果が現れる前に、残り2匹が発病しないことを祈るのみです。 人間のほうでは、今コレラが流行っているようです。病院のMさんの話では、市内でも何人かコレラ患者が出ているそうです。そのコレラの調査のために、ヴィエンチャンからJICAの専門家2人と、日本からも専門家の先生がサバナケットに来ました。 ヴィエンチャンの2人は以前からの知り合いです。普段は、ヴィエンチャンに日本の援助で建てた伝染病研究所にいます。ここでは日本人の専門家が3人働いています。お医者さんのC先生、細菌学のN先生、そしてH大の獣医科を出て寄生虫専門のMさんです。 以前私が狂犬病の調査をしていた時に、とてもお世話になったのですが、3人ともとても親切な人たちでした。特にMさんは協力隊OGで、以前M.C.だったHさんと友達だったこともあり、まるで影の調整員のように、隊員の面倒を見てくれます。ヴィエンチャンの医療隊員は、器具や薬を融通してもらったり、何かとお世話になっているようです。 そういうわけなので、今週は、その人たちと3回も夕食をともにしました。水曜日は、O大のF先生も一緒でした。この先生は大変酒好きで、夕食後飲み足りないらしく、飲みに行こうと誘われてしまいました。Mさんは「F先生は余り酒癖がよくないけどよろしく」と言い残して帰ってしまい、けっきょく、私、Sくん、病院のMさん、Oさんでお相手をすることになりました。 幸い乱れることはなく気分良く酔い、最後にはセンサバイのディスコにまで行ってしまいました。ディスコで、顔見知りのお姉さんが、「私に任せて」と言って、言葉の通じない先生の面倒を見てくれたのも良かったようです。持つべきものは知り合いです。この国では、少し顔見知りになっておくと、とたんに面倒見が良くなるようです。 今週の暇な時間は、ずっと『メコン』の原稿を書いていました。『メコン』というのはラオスの隊員機関紙で、年に3回発行しています。今まではヴィエンチャン隊員が作っていたのですが、前回1月の隊員総会の時に、次回からはサバナケットで作ることになったのです。そんなことはすっかり忘れていたのですが、いつのまにか私が責任者になっていたという事を思い出したのです。 前回の総会の時は少し風邪気味で、とにかく会議を早く終わらせたい一心で引き受けてしまっていたのです。今までの編集長Sさんに「じゃあ、次回から『メコン』の編集をサバナケットでお願いできますか」と聞かれ、「はい、やります」と真っ先に安請け合いした私が、責任者という事になってしまったのです。 まだ先の話だと、のんびりしていたのですが、月日の経つのは早いもの、7月12日には新隊員が赴任してきました。(男性4人、女性2人)毎回この『メコン』は、新隊員がヴィエンチャンでの語学訓練を終えて任地に赴任するころ発行していましたから、後1ヶ月くらいのうちに出さなければいけません。 慌てて表紙の絵を書いたり、「サバナケット歩き方」という特集記事をでっち上げたり、各隊員やOBに手紙を書いたりと、結構忙しい1週間でした。でも、おかげで何とか目鼻がつき、予定より少し遅れて9月には発行できそうです。 今こちらは、ラムニャイという果物の時期です。どこの家の庭先にもなっており、往診に行くと必ずお土産にくれます。今も、用事で外出していたカンタボンが持って来ました。 日本では見た事がないのですが、小高い木の枝に直径2cmくらいの丸い実が鈴なりになっています。味は少しブドウに似ています。ブドウよりは固めの皮に爪を立てて割ると、ブドウに良く似た実が出てきます。種は大きめなのが中心に1個、実を口に入れ、回りだけ食べて種は吐き出します。ちょっと酸味のある、さっぱりとした甘さ。ついつい食べてしまいます。本当は来月くらいが旬。もっと甘く、おいしくなるそうです。味見させてあげられないのが残念です。 それではこのへんで…、お元気で。
そういえば、カンタボンが11月に結婚するそうです。何でも、結婚するためには1,000,000キープ(約20万円)くらい必要で、そのお金で水牛と牛と金と現金を相手の家に贈るのだそうです。その代わり式当日のパーティーはお嫁さんの実家持ち。結婚後はお嫁さんの実家に住むそうです。お嫁さんも獣医で、地方にいるので、町から60km毎日通う事になるそうです。今のところ60,000キープしかないといって悩んでいました。 |