2年間で唯一見た象。昔はいっぱいいたらしい

1994-07-11

 元気ですか。先週は、毎日のように送別のバーシーとパーティーが続く、忙しい週でした。1日に3ヶ所という日もありました。送られる人だけが参加すれば良いと思うでしょうが、それでは招く側が寂しがります。私など、結局全ての会に出席する事になってしまいました。

 8日にはSさんとCちゃん、昨日10日にはSAさんがこの町を去りました。この後ヴィエンチャンで公式行事があり、13日くらいにはそれぞれ帰国、あるいは帰路変更旅行に行くために、ラオスを出ることになります。

 いざこの町を離れるとなると淋しいらしく、7日にはCちゃん宅、9日にはSAさん宅で徹夜麻雀大会が行われ、そのまま朝空港まで見送りに行きました。9日は土曜日だったので、昨日の日曜日ずっと寝ていられたのですが、つらかったのは8日です。

 そういう日に限って往診が入るもので、朝から夕方までずっと仕事。帰って夕飯を食べ、倒れるように眠ってしまいました。幸い先週はそんなに暑くなかったので身体が持ちましたが、やはり1週間に2回徹夜というのは、辛いものがあります。まあ、これからもそうあることではないと思いますが…。

 仕事のほうは、パルボとジステンパーとの戦いという感じです。どちらも犬の伝染病で、パルボは血便が続き死に至りますし、ジステンパーは肺炎症状などから熱が出て、熱が下がったかなと思うと脳炎症状を起こし死亡します。

 以前は、ラオスではラオス産の犬しか飼っていなかったので、そんなに多い病気ではなかったようなのですが、最近タイから犬を買ってくる人が増え、それとともにこれらの伝染病も多くなってきたようなのです。

 両方とも原因はウイルスなので、発病してもこれという治療法はありません。子犬のときからワクチンを打ち、予防するのが一番なのです。しかし、この国にはそのワクチンがありません。タイからわざわざ買ってくるしかないのです。最も狂犬病のワクチンでさえちゃんと打つ飼い主が少ないこの国で、パルボやジステンパーのワクチンをうとうという飼い主は少ないと思います。パルボやジステンパーは人間には伝染しませんから、まずは狂犬病というのは当然といえば当然です。

 最近往診によく行く紙工場では、2匹いたシェパード(?)のうち1匹は死に、もう1匹もジステンパーによる神経症状が出てきています。

 センサバイのすぐ近くの中国雑貨屋でも6匹飼っていた犬のうち、先週3匹が死に、1匹も神経症状が出ています。大変犬をかわいがっている人達なので、とても悲しそうでした。

 とにかくこの病気にはこれといった治療法が無いので、点滴をして、抗生物質や解熱剤を使うしかないのです。(現在日本では、インターフェロンを使うので、治る犬も多くなりました)次々に死んでいく犬を診ていると、無力感に襲われてしまいます。犬の死なんて何回立ち会ったか分かりませんが、どうも慣れるということは無いようです。

 またこれから雑貨屋の犬の往診に行かなければなりません。せめて残りの2匹だけでも助かってくれれば良いのですが…。

 今回は短いけど、これで終わります。

 それではまた、お元気で。

 

 急に手紙が続きます。手紙を書いた後雑貨屋の犬を診に行ったら、結構元気になっていました。食事もするようになったと言っていました。犬が元気になってくれると、こっちの心も明るくなります。

 ここの家の犬は大変かわいい奴で、「サバイディ」と挨拶すると、お手をしますし、チンチンなどの芸もします。それだけに、家の人もかわいがっていますし、私も愛着があったのです。

 もともとこの家の長女とSさんが仲良しで、それが縁で犬を診ることになったのです。長女のインポは30過ぎくらいですが、まだ独身。お母さんと、3歳になる姪と一緒に住み、雑貨屋をやっています。なぜフランスにいる兄弟の子を育てているのかは分かりません。

 最近良く行くので、あちらも慣れてきて家族の写真などを見せてくれたりもします。写真を見ると、親戚の結婚式で行ったというフランス、イギリスなどの写真もありました。やはりこの国でも、お金を持っている人は持っています。

 とにかくこの犬が元気になってくれるのを祈るばかりです。

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