狂犬病のポスター

1994-04-29

 元気ですか。こちらは、相変わらず暑い毎日が続いていますが、私は元気です。私の部屋にクーラーが付く気配はありませんが、扇風機だけでも結構平気です。周りの人たちが言うほどには暑く感じません。真夏に生まれ、クーラーなんてないころに育ったせいなのでしょうか。暑さには強いようです。もしそうなら、8月に生んでもらったことに感謝しなければいけませんね。

 最近は夕方、近くの中国人学校の体育館でバトミントンをやったりしています。往診先の中国人の人や、日本に帰化して、今里帰りしている中国系ラオ人のお姉さんに紹介してもらったのです。毎日というわけではありませんが、S君やチャンディーと行っています。中国人の人たちは、毎日やっているのでとてもうまく、私達とはレベルが違います。うまい人たちが来る前に行き、コートを使って教えてもらったりしています。

 バトミントンというのは、意外にハードなスポーツです。1時間もやると汗びっしょりです。その汗をシャワーで流した後のビールは、こたえられません。まあ、そのためにやっているようなものです。

 夕食後に良く行くのはビリヤードです。2ヶ月ほど前に、近くのホテルの1階にビリヤード場ができたので、行き始めたのです。ビリヤード場には、玉を並べる係の女の子が何人かおり(本当にそれしかやりません)、暇なのですぐに話しかけてきます。おかげで、なかなかゲームに熱中できないこともしばしばです。仕事に行くときは、そのビリヤード上の前を通って行きます。女の子達は暇なので、外に椅子を出して座っており、声をかけてきます。恥ずかしいような、嬉しいような気分です。

 最近、近くのパーマ屋のお姉さんたちとも仲良くしています。20代後半から40くらいまで、4・5人のお姉さんたちですが、それぞれ手に職を持つ、いわゆるキャリアウーマンです。みな独身らしく、ラオス版飛んでる女達、着ているものもこの町にしては目立つ、陽気でにぎやかな集団です。

 この前の日曜日も、夕方いきなり迎えに来て、お弁当を持ってパーパオという公園まで行きました。その日はちょうど満月。お弁当を食べた後、月を照明に歌を歌い、帰ってきたのは8時ごろでした。

 もちろん1人ではお姉さんたちのパワーに対抗できませんから、MさんとS君と3人で行きました。日本語を少しでも使うと怒られてしまうので、ずっとラオ語、しまいには疲れてしまいました。お姉さんたちの1人が日本語を習いたいというので、S君が教えることになりました。ますます遊びに誘われることが多くなりそうです。

 こんなふうに色々と付き合いも増え、仕事でもいろいろな所に行くので、顔見知りの人が増えてきました。小さい町ですから、どこに行っても必ず誰か知っている人がいるという状況になってきました。

 仕事のほうも繁盛(?)しています。この前の日曜日も、うわさを聞いた人がホテルまでやって来て、「うちの豚を診てくれ」というので、休みなのに出かけることになりました。

 一昨日などは、バトミントンをしに中国学校に行ったら、そこで飼っている犬を診ることになり、結局それから1時間、乳房にたまった膿をぬいてバトミントンはやらずに帰ってきました。食事をして帰ると、今度はパーマ屋のお姉さんがやってきて、お姉さんの知り合いの家で飼っている犬を診に行くことになりました。昨日の午前中は豚の去勢と、犬の爪が腐ったのを取る手術。午後は往診6件といった具合です。

 この国の場合治療費や手術料というのはとりませんし、使う薬も、飼い主が自分で薬局に買いに行きます。治療の後「いくらですか」と言われ、「いや、いらないよ」と言って帰る姿は、我ながらかっこいいと思ってしまいます。日本でそんなことをしていたら、大赤字になってしまいます。

 「そんなに流行っているなら、開業してもやっていけるんじゃない」などと周りの人たちに言われますが、治療費が取れないのですから、やっていけるわけがありません。でも、慣れた仕事をして感謝されるのですから、これ以上のことはありません。

 良く働き、良く遊んでいる毎日です。

 また往診が入ったようです。

 今回はこのへんでやめます。お元気で。

戻る | 目次 | 進む