何かあるとすぐ宴会です

1994-04-11

 元気ですか。ラオスで一番暑い時期がやってきました。昼は40度くらい。夜になった今でも30度以上あります。

 いくら暑くても往診には行かなくては行けません。昼間、暑い時にバイクに乗ると、熱風が吹き付けてきます。顔に感じる風が、ちっとも涼しくなく、熱い空気の塊がぶつかってくるという感じです。

 相変わらず部屋にクーラーは付きません。でも空気が乾燥しているので、日陰にいれば結構快適です。午前中はカーテンを閉め、日が入らないようにしているので、扇風機だけでも何とか暮らせます。夏に生まれたせいか、暑さには強いようです。せっかく暑い国に来るという覚悟で来たのですから、これくらい暑いほうが許せます。逆に12月の寒さは、なんだかだまされたようで、許せませんでした。

 暑いと少し仕事をしただけで汗をかき、なんだかすごいことをしたような気になって充実感まで感じてしまいます。こちらで日本と同じように働いていたら、疲れ果てて病気になってしまうのがオチです。ラオ人が怠け者に見えるのも、長年身についた生活の知恵、当然の習慣なのだということが分かります。

 洗濯物がすぐ乾いてくれるのも、嬉しい事のひとつです。いくら汗をかいても、洗って干しておけば、あっという間に乾いてしまいます。洗い立てのシャツの匂いをかぐと、太陽の恵みみたいなことを感じてしまいます。

 コップに半分水が入っているとき、半分しかないと思う人と、半分もあると思う人がいるというたとえ話がありますが、どうやら私は後者のようです。

 暑いという事を理由にラオ人以上に怠け、職場にいる時間の短い私ですが、やるべき仕事はやっており日曜も往診に行っている事を、職場の人たちも分かってくれているので問題はありません。

 職場は今増築中で、検査室までできるそうです。ヴィエンチャンから顕微鏡を借りてきたとき、流しがなければ染色できないから作ってくれとは頼んでいたのですが、今うちの職場には色々な所から援助が来ておりお金があるため、大げさなことになってしまったようです。おかげで「せっかく検査室までできるのに、後1年だけで帰るつもりなのか」などと責められて困っています。

 確かに、今の状況では、宝の持ち腐れです。私以外に顕微鏡を使う人はいないのです。これからの1年で、簡単な検査くらいできるように、職場の人たちを教育しなければいけません。

 検査ができるというのは良いものです。2・3日前、腹水がたまっている犬の血液を調べたら、やっぱりフィラリアでした。今職場では染色できないので、病院の検査室のMさんのところに持って行ったら、検査室の人たちが珍しがり、検査室長をつれて犬を見に行くという騒ぎになってしまいました。

 犬は昨日死んでしまいましたが、どういう病気かということをちゃんと説明してあったので、飼い主の人も納得できたようです。

 こういう、検査で病気が確定診断できたときの喜びというものは、なかなか普通の人には分かってもらえないものですが、幸い隣の部屋のMさん(今ホテルの隣の部屋は、病院のMさんです)は臨床検査技師、一緒に喜んでくれました。

 ところで、今週の水曜からはピーマイ・ラオ(ラオ正月)です。正月も今年になって3回目です。ピーマイ・サーコン(西洋正月)、ピーマイ・チン(中国正月)、そしてラオス本来の正月ピーマイ・ラオです。そのたびに、「サバイディー・ピーマイ(新年おめでとう)」の大騒ぎ。いろいろな所のパーティーによばれて大忙しです。今日の昼も、Aさんの職場のパーティーに行ってきました。仕事より私事の優先するこの国、パーティーに招かれたというと、堂々と休めます。

 中国正月が、夜まで爆竹を鳴らすという火の祭りだったのに対して、ラオ正月は水の祭りです。この期間は、道端に人々が水を用意して待ち構えており、道行く人に水をかけます。

 今日のパーティーでも、まだ本当は正月になっていないのに水の掛け合いが始まり、全身ずぶ濡れになって帰ってきました。ついポケットから財布を出すのを忘れ、帰ってからお札を乾かしながら「ラオスに来て1年が過ぎたんだな・・」とつくづく感じてしまいました。

 この水掛祭りに前後して、各村ではロケット祭(ブン・バン・ファイ)が行われます。これはロケット花火の巨大なものを空に打ち上げる祭です。

 先週の日曜日、シェンカンのTちゃん(22才。畜産)が来たので、タートイハンに行くと、ちょうどロケット祭をやっていました。昨年は、ヴィエンチャンでの研修中で、事務所のポワンさんの村で見ました。それももう1年前のこと。バタバタと時が過ぎ、気づくと1年が経っていました。残り1年。帰国の時に後悔しないようにしようと思う今日この頃なのです。

 それではまた、お元気で。

 

追伸:お願いがあります。裏の部屋のタンスの前に積んであるダンボールを捜し、微生物学の本があったら送ってもらいたいのです。顕微鏡をのぞいていて、微生物学の本を忘れたことに気づきました。よろしくお願いします。

 今日から1・2階にも電気が来て、またディスコが始まりました。うるさいけど、下の人たちが嬉しそうにしているのを見たら、文句も言えなくなってしまいました。なんだかこっちも嬉しくなってしまいました。

 ピーマイの休みには、チャンディーとCちゃんと、ひとつ南の県サラワンにバスで旅行に行きます。少し手紙の間があくかもしれませんが、心配しないでください。

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