飾り立てた手作りロケット

1993-05-14

 元気ですか。5月13日の朝10時くらいにサバナケットに着きました。ラオス第2の都市とはいえ、ヴィエンチャンに比べると町もかなり小さく田舎です。東京→バンコク→ヴィエンチャン→サバナケットとだんだん小さい町に移動し、同期の友達もS君だけになってしまいました。ヴィエンチャン隊員の人達とも仲良くしていてので、少し寂しい気もします。

 しかし、サバナケットにはもう7人の隊員が生活していますし、事務所もないので、かえって気楽に生活できるような気もしています。

 住居はメコン川の近くのセンサバイ(とても快適という意味)というホテルですが、建物も古く、エアコンもなく、トイレ、シャワー(水しか出ません)も共同、従業員が掃除してくれるわけでもなく、シーツも自分で洗うというようなホテルです。ここの3階を借り切っていて、各自10畳くらいの部屋を2部屋ずつ使っています。2部屋と言っても、続き部屋ではないので不便です。1部屋で生活しようと思っています。

 ホテルの1階がディスコになっていて、建物の中央が吹き抜けになっているので、毎晩12時くらいまでかなり大きな音が聞こえてきます。こんなホテルですが、建物が古いだけに雰囲気があり、今にもその辺からハンフリーボガードでも出てきそうです。共同の台所もあり、事務所の2階よりは便利ですし、十分暮らして行けると思います。

 サバナケットの隊員は、私とS君を入れて全部で9人ですが、こちらのホテルに男だけ5人、もうひとつのサバンバンハオホテル(別名シーラーン。こちらの方がきれいで、エアコン付)に男性2名、女性2名が住んでいます。そちらのホテルに無線があり、毎日5時には事務所と連絡をとっていますので、なにか急な連絡があるときはヴィエンチャンの事務所に電話すれば連絡できます。一応、サバナケットの郵便局からも国際電話がかけられるそうですが、高いし、通話状態も悪いそうです。手紙も、ホテルの私書箱があるので表書きの住所で届くそうです

 仕事は来週の月曜日(5月17日)からになりました。S君はさっそく今日(5月14日)から仕事に行きましたが、私の場合所長が出張中で、今日仕事に行っても何をすれば良いのかわからないのです。

 やはり来てみると、要請書とはかなり違っていました。獣医が7人いるという話だったのに、実際事務所に来るのは4・5人で、しかもちゃんと獣医の勉強をしているのは所長だけ。職場訪問をした時に出迎えてくれた人は単なる事務員でした。昨日の夜の歓迎会で会った副所長も獣医ではなく、畜産の勉強をした人でした。

 もっともラオスには獣医大学がなく、獣医はすべて外国の大学(ロシア、キューバ、ブルガリアなどの社会主義国)で勉強してきた人で、ラオスには40人くらいしか獣医がいないそうですので、こんなものかもしれません。

 もちろん、所長だけではサバナケットの牛全部にワクチンを注射してまわるわけにはいかないので、事務所にいた事務員の人たちも注射しに回るとのことでした。こちらでは、獣医でなくても注射できるようです。

 こんな状態ですから、私の仕事もサバナケット県中を駆け回って村に泊り込みワクチンをしまくるといったものになりそうです。でもまあ、仕事については実際に始まってみないとわかりません。

 少しこの前の手紙からの出来事について書いておきます。8日にはヴィエンチャンで最後のソフトボールに行き(結局ヴィエンチャンにいた間毎週参加してしまいました)、終わってから薬草サウナに行きました。このサウナはお寺の中にありました。家の造りが高床式なので、下で薬草を蒸し焼きにし、その煙というか蒸気を上の人が4・5人入れるような小さな部屋に充満させるという単純な構造のものですが、とても気持ち良く、出た後も身体からほのかにハーブの匂いがするような気がしました。その後のビアソットでのビールは最高でした。

 9日(日)は事務所の門番、ポワンさんの村でロケット祭りがあるというので、TとN君の3人で遊びに行きました。こちらのバスは満員で窓から人が溢れそうなくらいに混んでいますが、皆親切で、降りるときには口々に教えてくれました。

 ポワンさんの村は、ヴィエンチャンから北へ10Kmくらいの所にありました。バスを降りて道を訪ねると、親切に家まで案内してくれました。ポワンさんの家は高床式で(最も回りの家全部がそうですが)、事務所のアサさん夫婦も来ており、朝10時なのにさっそくラオラオ(こちらの焼酎)を飲んで盛り上がっていました。

 さっそく輪に入り飲んでいると、次々と人が来たり帰ったり、めまぐるしく入れ替わります。昼飯をご馳走になった後、ポワンさんとポワンさんのお父さんに連れられて村の様子を見て回りました。

 何組もの団体がロケット(ロケット花火の大きいようなもの)を肩に担ぎ、楽器(太鼓屋ブリキ缶)を鳴らし、歌を歌いながら村中を回り、1件1件あがり込んでは、酒や、食べ物をご馳走になっていました。

 本当はロケットを上げるのは4時からなのですが、2時に帰る予定だったので(あまり長くいるとベロベロに酔いそうなので)、ポワンさんが無理を言って小さいロケットを二つだけあげて見せてくれました。その後行列に加わって家々を回り、2時のバスで帰ってきました。

 翌日は日本大使館でカラオケ大会などがあり、荷物をまとめて13日にサバナケットに着いたわけです。

 電話は無理かもしれませんが、また手紙を書きます。ではお元気で。

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