FMポート「PEOPLE」 (5.24放送分)

 

島田   PEOPLE 今週のセカンドハーフの本日のお客様は、

      一期一会、いつも出会いに一生懸命な、

      誠実な所がたまらなく魅力的な、

      稲垣動物病院の稲垣仁さんです。

 

島田   今日まで稲垣さんが生きてこられた中で、

      いろんな出会いがあったと思うんですね、動物も人も。

      チラッと、音楽を聴いているときにお話していると、

      動物も好きなんだけど、人も好きなんだよね。

稲垣   やっぱり人が好きじゃないと、

      なかなかできないですよね。いろんな人が来るし。

      結局、動物が一人で来るわけじゃないですから。

島田   そうですよね。連れてくる人あってですからね。

      やっぱり、人と話できなきゃいけないし。

稲垣   特にうちの辺り、本当にいろんな人が来ますから、

      飽きないですよね。

島田   ああ、人間ウォッチング的にもね。

      社会を見られるわけですね。

稲垣   もともと代診していたところも、

      千葉の船橋というところだったんですが、

      あそこもすごいところで、

      それこそやくざの親分の家に往診に行ったとか、

      ストリップ劇場の楽屋裏に行ったりとか。

島田   そこに動物が居れば、

      行かなきゃいけないんですからね。

稲垣   そうですね。

島田   そうですよね。連れてこられないんだったら。

      いろんなの見られますね。そういう意味ではね。

稲垣   そういうところが面白いですよね。

      アルバイトでも、大学出て1年くらい…、

      あの、すぐ獣医やったわけじゃなくて、

      1年目はね運送屋でアルバイトしてたんですよ。

      2年目はね、塾の先生やってたんですよ。

島田   へー。

稲垣   それからやっと、また獣医に戻ったんですけど。

      1年目にね、引越しをやってて、面白かったですよ。

島田   引越し屋さん。

稲垣   小さな運送屋なんで…。

      で、アルバイトって身分ですから、一番便利に使われて、

      朝行くまで何やるかわからないんですよ。

島田   ああ。行ってから振り分けがあるんですね。

稲垣   ええ。だから、引越しが一番面白かったです。

      いろんな生活が見られるし。

      分かれる夫婦の荷物を運ぶみたいなことがあって。

島田   えー。そんなのも見えちゃうんだ。

稲垣   それがね、すごかったですよ。

      行ったら、奥さんが「こっち回ってください」って言うから、

      縁側の方に回って…。

      そしたら、一人で黙々と荷物詰めるんですよ。

      こりゃ、この人一人の引越しかなって思って、

      ふっと見たら、あちらの部屋の方から

      じっとこちらを睨んでいる男の人が居るんですよ。

      二人組で行ったんですよ、もう一人の人と。

      その人、元J事務所のアイドル崩れの人なんですけど…、

      まあ関係無いけど。まあその人と二人で行って…、

      で、その女の人結構きれいだったから、

      確実に二人ともその人の味方になちゃったんですよ。

島田   アハハハハ。そういう事。

稲垣   絶対に旦那が悪いって。

      それでまあ、大丈夫ですかなんて言いながら。

      で、「私も引越し先まで乗って行って良いですか」って

      言うから、「もちろんですとも」って言って、真中乗せて…。

      そうしたら、「お願いがあるんですけど」って言うんですよ。

      「なんですか」って言ったら、

      「引越し先のことは、黙っていてください」って。

島田   うーん。

稲垣   「わかりました」って言って、

      行ったんですよね、引越し先に。

      そうしたら、何の事はない、

      若い男が手を振ってるんですよ。

      もうそれから、

      荷物運ぶ時のぞんざいさっていったらないですよ。

島田   またオチ作りましたね。

稲垣   いや、本当にそう言う事があったんですよ。

島田   でも、引越しにそんなドラマがあるんですよね。

稲垣   そうですね。

島田   そう考えると、今のお仕事だって

      裏にいろんなドラマがありますよね。家族関係だったり、

      犬にとっての、猫にとっての条件だったり…、

      色々見えますよね、連れてこられる中でね。

      えー。この獣医さんになるにも、実は色々ご苦労されて、

      獣医さんになっていますよね。

稲垣   いや、苦労だとあんまり思ったことないですけれども。

      あんまり、そう努力するタイプじゃないんですから。

島田   あら、浪人生活も結構…。

稲垣   エンジョイしていましたけど…。

      あ、こういうこと言っちゃなんなんですけど。

      作家になりたかったですね、その頃はね。

      小説なんて1回も書いたことないんだけど…。

      日に3冊4冊、小説読んでましたよね。

島田   あー。本好きなんですね。

稲垣   いや、あれが一番、勉強しているフリには良いんですよ。

      部屋の中に閉じこもって、

島田   ナニ!フリ!

      うるさくないし、静かに何か机に向かっているっていう。

      でも、自分のワールドなんですね。

稲垣   そうそう。

島田   でも、獣医さんになるのって大変なんですか。

      勉強とかって。

稲垣   今は大変みたいですね。うちらの頃までは、

      まあ工学部と同じ程度でしたし…。

島田   獣医さんって畜産科なんですよね。違うの?

稲垣   学校よって違うんですよ。

      うちの大学は、北里大学っていうんですけど、

      獣医畜産学部っていうのがあって、

      その中で獣医科と畜産科に分かれているんですよ。

島田   じゃあ、違う勉強するわけですね。

稲垣   そうです。

島田   へー、そっか。

      でも、試験が結構通りにくくなったんですか。

稲垣   今、なんか女の人が増えたらしいんですよ。

      うちらの頃はね、2割くらいしか居なかったんですけど、

      今は逆転しちゃって、女性の方が多いんですよ。

      女性ってこつこつ勉強するから成績良いじゃないですか。

      だからいきなり、難しくなったらしいですけどね。

島田   アラ。そういう状況があるわけですね。

      知っている人に、獣医さんになろうと思ったんだけど、

      あんまり動物好きすぎて、勉強過程で辛くなって

      辞めちゃったっていう人が居るんですけど。

稲垣   やっぱり居ますよね、解剖が嫌だとかね。

島田   ちょっと出来ないって。

稲垣   最初のうちそうやって泣いてる女の人でも、

      最後の頃にはぜんぜん平気でやっていますけどね。

島田   やっぱり結論は、女は強し。

稲垣   うーん。そうですね。

島田   まとまりました。では今日の1曲。

 

2001-06-12

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