島田   あのー。稲垣さんの宝物ってなんですか。

稲垣   宝物って…そうですね。

      友達付き合いとか…それくらいですよね。

島田   ああ。

稲垣   だから病院を建てる時にも、

      友達の建築会社に頼んで、

      友達の勤めている銀行でお金借りて、

      経理も友達がやっている会計事務所に頼んで…。

      みなそれなりに友達割引してもらって…、ハハハ。

島田   でも、いろんなジャンルにご友人がいていいですね。

稲垣   うーん、わりとね、しつこいんですよ。

      一回知り合うと。

島田   はーん。大切に付き合っていくとか…。

稲垣   大切と言うか、

      とりあえず年賀状だけは欠かさないように

      しているんですよ。

島田   いつか何かがあるかもしれないと思って。

稲垣   どこにいるかだけは把握しておかないとね。

島田   明らかにしておこうと。

稲垣   そうそう。

島田   本当にいざという時役にたちますね。本当にね。

 

島田   今週のセカンドハーフのお客様は、稲垣動物病院の

      稲垣仁さんをお迎えしていますが…。

      最近ちょっと変わった手術をしたそうですね。

稲垣   え、あー。今年の3月なんですけど、

      マリンピアのラッコの手術をしたんです。

      あそこの獣医さんが大学の後輩で、

      マリンピアに吸入麻酔の設備がないので、

      それで一番近い所ということで、

      うちでやることになったんです。

島田   ラッコちゃんはどうされたんですか。

稲垣   お腹の中に腫瘍ができていたんですよね。

      20kgの体重に3.3kgの腫瘍だから、

      ちょうど赤ん坊の頭より大きいくらいのものが…、

      お腹のなか中(が腫瘍)みたいな感じでした。

島田   痛かったでしょうね。

稲垣   その上、縦に回旋しながら泳いだりするから、

      ねじれまくっちゃっているんですよね。

島田   痛いでしょう…。

稲垣   痛いでしょうね。

島田   それで取ってあげたんですか。

稲垣   取るところまではうまく行ったんですが、

      結局手術後2時間位して

      死んじゃったんですけどね。

島田   体力的にも辛かったんですかね。

稲垣   年齢的にも、9歳くらいが平均なのに、

      もう11歳でしたし、ラッコ自体手術することが

      すごく難しいんですよね。

      日本でも開腹手術は5例くらいしかなくて、

      そのうち1回しか成功したことないっていう

      話ですし…。その、うちらがやった手術の後も、

      新潟ではないですけど、足の腫瘍を取る手術だけで

      死んじゃったそうですからね。

島田   助けようと思ってやるんですけど、

      なかなか思うように行かない時もありますよね。

稲垣   そうですね。

      ショックでね、あまり話さなかったんですけど、

      2ヶ月位したら話そうかなって気になって…。

島田   でもそういう時は、

      自分として苦しい思いになりますよね。

稲垣   特に開業してから、私わりとラッキーな人間で、

      手術して死んだってことがなかったんで、

      特にショックでしたよね。

島田   痛い思いをお話していただいて、

      ありがとうございました。

 

2001-06-01

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