今年の8月5日に障害者の人たちの集まりがありました。

ガンザ(空き缶に小石などを入れて作る楽器)を作るワークショップをやり、

サンバを紹介する寸劇をやりました。

この台本は、その時のものです。

 

サンバ王国の明日

ナレーター  昔々ある所に、サンバ王国という国がありました。その国の人達は皆楽器を持ち、毎日自分のリズムを刻みながら暮らしていました。

       普段は良いのですが、王様の前では皆が王様に合わせなくてはいけませんでした。

ところが、王様の二人の息子は王様の前でも

自分のリズムを変えなかったのです。

     

王様、ウッ・ドーンのリズムでおごそかに登場。実際の音は舞台ソデから。王様はお腹をたたく。

兄王子とたぬきチーム、たぬきのリズムで軽やかに登場。       王様苦々しい顔。弟王子とシマウマチーム、シマウマのリズムで軽やかに登場。王様さらに苦々しい顔。

 

王様     いいかげんにしろ!なぜお前達はわしのリズムに合わせないのだ。この国の王様は、代々このウッ・ドーンのリズムに決まっているのだ。

 

ウッ・ドーンのリズム

 

兄王子    しかし父上。私はこの「たんたんたぬきが

スタスタ逃げた」のリズムでないと生活

できないのです。頭は痛くなり、

胃はムカムカし、朝起きあがることさえも

できなくなってしまうのです。

 

たぬきのリズム

 

弟王子    私もそうです。私もこの「シマウマ シマウマ」のリズムでないと、脳ミソは爆発し、胃は破裂し、1歩も動けなくなってしまうのです。

       

シマウマのリズム

       

ナレーター  王様も、二人の王子のリズムを聞くたびに頭は痛くなり、胃はムカムカし、朝起きあがることさえもできなくなってしまうのでした。とうとう王様は、本当に病気になってしまいました。

 

王様倒れる

 

2人の王子  父上。しっかりしてください。

 

王様     わしはもうだめかもしれない。二人のうちのどちらかが、わしの後を継ぐことになるだろう。ウッ・ドーンのリズムを継ぐものがこの国の王となるのじゃ。

 

兄王子    私には無理です。私は「たんたんたぬきがスタスタ逃げた」のリズムでないと生活できないのです。頭は痛くなり、胃はムカムカし、朝起きあがることさえもできなくなってしまうのです。

 

たぬきのリズム。王様苦しがる。

       

弟王子    私もだめです。私もこの「シマウマ シマウマ」のリズムでないと、脳ミソは爆発し、胃は破裂し、1歩も動けなくなってしまうのです。

         

シマウマのリズム 。王様、ますます苦しがる。

 

王様     これではこの国の王様はいなくなって

しまう。もうこうなったら、サンバの女神に

決めていただくしかないだろう。

それで良いな。

 

2人の王子  わかりました。

 

王様     では、わしも最後の力を振り絞って女神を呼ぶことにしよう。では、始めよう。

 

兄王子と弟王子と王様が、

コールアンドレスポンスのリズムを刻む。

 

女神     私を呼んだのはあなた達ですか。      

 

ナレーター  女神はおごそかに言いました。

 

女神     あなた達の聞きたい事は分かっています。

       もう答えは出ています。

 

3人     え?

 

女神     今私を呼ぶ時にあなた達は何をしましたか。

 

兄王子が、コールアンドレスポンスのリズムをを刻む。

 

女神     それだけでは私に聞こえません。

 

兄王子と弟王子が、コールアンドレスポンスのリズムをを刻む。王様少し元気になる。

 

女神     それだけでは私に聞こえません。

 

兄王子と弟王子と王様が、コールアンドレスポンスのリズムを刻む。王様ノリノリ。

 

女神     そうです。3人の音が一緒になった時に、始めて私に聞こえたのです。さあ、私が開始の合図を出しますから、やってみましょう。

 

女神が開始のリズムを出し、皆それに合わせる。最初はゆっくり、女神の笛で一度終了し、今度は早く。皆踊りながら退場。

 

ナレーター  こうして出来た、サンバのリズムは、

       いつまでもいつまでも鳴り響きました。

          めでたし、めでたし。

2001-08-05

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