いろんな電話

 こういう仕事をしていると色々な電話が掛かってきます。急患かもしれないと思い、深夜でも電話があれば出てしまいます。

特にうちのあたりは夜の仕事をしている人も多いので、深夜の急患も良くあります。

 あまり苦にならないたちなのですが、「仕事から帰ってみたら犬の具合がおかしいので、これから行ってもいいですか」という電話が夜中の3時と5時にあった日があり、さすがにその日はまいりました。

 うちの場合電話番号が覚えやすい事もあって、間違い電話も多いのです。

開業したての頃多かったのは、金融会社と間違えて掛けてくる電話でした。

「そちら、手形の割引はやっていますか?」と、前置きもなしにいきなり言われたこともたびたびでした。どうやら以前この電話番号は、金融会社の電話だったようです。

 高速バスの予約電話も良く来ます。うちにいて、電話に出た時なら間違いですみますが、留守番電話に「○○ですが。明日の○時の予約を取り消しておいてください」などと入っていると困ってしまいます。

 先日も電話会社と間違えたらしく、「風で電話線が切れたので直しに来てください。午前中は家にいますのでお願いします」と入っていました。

お願いされても困ります。電話番号を言ってくれれば、間違い電話ですよと連絡もできたのですが…。

きっとその人は、午前中ずっと電話会社の人が来るのを待ち続けたことでしょう。私のせいではないとは思いますが、心が痛みます。

 獣医というのはお金持ちだと勘違いしている人が多く、セールスの電話も良くかかってきます。

私も代診時代は少し勘違いしていましたが、自分でやってみてわかりました。動物病院を開業しても、けして大金持ちにはなれません。

 「東京スポーツの者ですが、先生が高橋留美子さんの『めぞん一刻』の主人公、五代君のモデルだといううわさを聞いたのですが、取材させていただけませんか」という電話があった事もありました。

これはまったくの事実無根で、トレードマークを書いてもらったことでの勘違いでしたので、丁重にお断りしました。

 今日の夕方掛かってきた電話もなかなかのものでした。

 「報道日本という雑誌の者ですが、そちらの病院にタレントの○○(和田アキ子の物まねをやる人です)をつれて土曜日の午後に取材に伺いたいのですが…。うちの雑誌は、アサヒグラフのようなグラビア雑誌で、その中に地域に密着したお医者さんや獣医さんを紹介するコーナーがありますので、そのコーナーでお宅の病院を取り上げたいと思いまして…。リサーチ会社を通じて調べましたら、そちらの病院は地域に密着した、利益を追求しない病院だという評判ですので、ぜひ取材させて頂きたいと思いました」と言うのです。

 確かに地域に密着しているかもしれませんし、そんなに評判が良いのかと半信半疑ながらも悪い気はしません。

別に断る理由もありません。土曜日の12時半に来ると言うので、目の前にあったカレンダーに予定を書きこみました。

 「いやー、ご承諾頂きありがとうございました。○○さん(ハヒフヘホーと言う人です)はきさくな人ですから、ご家族との記念写真やサインにも応じてもらえると思いますよ。最期になって申し訳ありませんが、うちの雑誌も経営が厳しいので取材費のご協力をお願いいたしたいのですが…」

 きっぱり断らせて頂きました。

 今頃、他の病院に同じように電話しているかもしれません。取材に応じるところは果たしてあるのでしょうか。

一度その雑誌を見てみたいと思うのですが、少なくとも私は見た事がありません。どなたかご存じありませんか。

 

1999-05-26

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