プロジェクトLa Gatta

おはようございます。今回は「プロジェクトX」風にお送りします。

「子供や大人、障害者や健常者が一緒に参加出来るサンバチームを作りたい…」 その挑戦はたった一人の男の思いから始まった。

男の名前はT。東京にいたころ、障害者の人たちがやる芝居に出合った。純粋に演劇を楽しむ笑顔に心を動かされた。

平成13年新潟に帰郷。新潟市が、誰もが参加できるワールドカップイベントを計画していると知った。

ワールドカップ−サンバ−障害者の人たち、Tの頭の中でその三つが結びついた。

とびこみで障害者施設を回り、自分の思いを語った。

施設所長のAは、初対面のTの言葉に動かされた。翌日、Aは他の作業所の所長にTの話しをした。

「昨日うちに面白い人が来ました。そちらを紹介しましたから、話を聞いてあげてください」

プロジェクトは動き始めた…。

ここでスタジオに代表のTさんをお招きしました。

「Tさんは25年ほど前に、葉月会という新潟のみこしの会を立ち上げたそうですね」

「はい。その時も友人5・6人と始めたので、今回も何とかなるだろうと…始めは甘く考えていました」

「ところがなかなか人が集まらなかったのですね」

「はい」

翌年の12月。あることをきっかけにプロジェクトは次の段階に進みます。

始めて練習を見学に来たある人に言われた。「ここには組織も計画も何も無いんですか。」

皆、押黙った。何も無かったのだ。本当は、皆が何とかしなくてはいけないと思っていた。

年が明ける頃には、組織図、企画書などが出来上がった。役割分担が決まり、少しは組織らしくなった。

こうしてプロジェクトは明るい方向へ進み始めました。ところが、思いもかけぬ問題が次々とプロジェクトに襲い掛かります。

春になって一般募集を始めた。しかし、ほとんど反応は無かった。

Tは悩んでいた。家の事情や仕事の事情が重なり、いっぱいいっぱいの状況だった。そしてついに言った。「もうやめようと思う。今ならやめられる」

しかし、やめられるわけが無かった。もうT一人の夢ではなくなっていたのだ。

本番まで2ヶ月を切った頃から、どんどん参加人数が増えていった。心配なのは当日の天気だけだった。 

6月2日当日。前日の雨が嘘のように晴れわたった。Tは200人を超えるパレードの一番後ろにいた。 

「Tさんは一番後ろにいたのですか」

「はい。そこにしかいられなかったし、そこが自分の居場所だと思ったんです」

たった一人の男の夢が皆の夢となり、そして200人の夢となった。「ら・ガッタ」はワールドカップ・ウェルカムパレードの最優秀賞を獲得した。

こうして生まれたサンバチームLa Gattaは、毎年の新潟祭パレード参加を中心に活動を続けている。

 

2005-11-04

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