変わった患者？たち

おはようございます。

　動物病院をやっていると必ずされる質問のひとつは、

「今まで何か変わった動物が来たことがありますか？」という質問です。

　普段は主に犬猫しか来ませんし、たまにウサギやハムスターが来るくらいなのですが、時々思いも寄らない動物を連れてくる人もいます。

　以前勤めていた動物病院での事です。

ある日、若い女性が仔猫を入れたペット用のカゴと小さな箱を持ってやって来ました。

「どうしました？」

「実は診てもらいたいのはこの子ではなくて、こっちの方なんです」

そう言って、ペット用のカゴではなく片手に持った小箱の方を診察台に置きました。

「カブトムシの幼虫なんですが、仔猫がいたずらして角を折っちゃったんです。さなぎのころから育ててたんで、付き合いはこの仔猫より長いんです。何とかなりませんか…」

「え、じゃあこの仔猫は…」

「加害者です。一応つれてきました」

　

箱の中を見てみると、確かにカブトムシですが、まだ殻が硬くなっていません。角が折れ、そこから体液が出ていました。殻が硬くなってからなら何とかなったかもしれませんが、これではどうしようもありません。

「ちょっとこれはどうしようもないですね。うちは動物病院で、昆虫病院ではないので…」

そう言い訳しながらふとカゴの中の仔猫を見ると、仔猫は明らかに風邪をひいていました。

「この子風邪をひいていますね、こっちなら治せますよ」

結局、子猫の風邪の治療をすることになりました。

　開業してからのある日。その日の患者はアオガエルでした。

　小学校1年生くらいの子4人が連れて来たのです。一生懸命握ってきたらしく、カエルはちょっとぐったりしていました。

カエルなんて治療した事はありませんが、期待に満ちた子供達の目に見つめられたら、何かしないわけにはいきません。

　足を怪我しているというので診てみると、ちょっと赤くなっていました。ヨードチンキを塗って治療終了です。もちろん治療費をもらうわけにはいきません。

「みんな大変だったね。帰りに1個づつアメ持って行きなよ」

　治療が終わり、うちの看護婦さんが勧めました。うちの待合室には、キャンディーが入った籠が置いてあるのです。

「じゃあ僕、妹の分も貰っても良いかな？」

「じゃあ僕も、お兄ちゃんの分！」

　他の子がすかさず言いました。

「あれ、お前お兄ちゃんいたっけ？」

小さな飼い主さん達は、大騒ぎをしながら帰って行きました。

帰ってからキャンディーの籠を見てみると、半分くらいに減っていました。よっぽど兄弟の多い子供たちだったようです。

2005-12-09

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