ふれあい動物教室 おはようございます。 新潟市動物愛護協会主催の「ふれあい動物教室」での出来事です。 「ふれあい動物教室」は、動物たちを連れて小学校に行き、小学生たちに動物との付き合い方を教えるというものです。 その日行ったのはうちの近所の小学校でした。うちの近くは子供が少なくなっており、1・2年生合わせても60人くらいしかいません。体育館がとても広く感じられました。 盲導犬との付き合い方、犬の触り方、紙芝居などの後、小グループに分かれ、それぞれのグループにボランティアの人たちが犬を連れていき、子供たちに触らせました。 動物に触れたことのない子も多く、始めはこわごわ触っていた子もいましたが、慣れるにしたがって大胆に触り始めました。触られる犬たちも、さすがこういう場に来ようというだけあって慣れたもの、おとなしく触られていました。 次は私たち獣医師の出番です。聴診器を持って各グループに散らばり、犬の心臓の音を子供たちに聞かせるのです。 「すごい、ドキドキいってる!」子供たちは大喜びでした。 順番が一回りしたところで言いました。 「自分の心臓の音、聞いてみたい人!」 4・5人が手を上げます。もうすでに洋服を捲り上げておなかを丸出しにしている子もいます。 「すごい、やっぱりドキドキいっている!」 「さっきのワンちゃんとどっちの音が大きい?」 「ワンちゃんのほう!」 「私も聞きたい!」 1人の女の子が言いました。でも、女の子の洋服を捲り上げるわけにもいきません。 「じゃあ、洋服の上から聞いてみようか。聞こえる?」 「よく聞こえない」 「だれか、男の子で心臓の音を聞かせてあげたい人!」 「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」 洋服を捲り上げた小さなおなかが三つ並びました。 一番手前の男の子の胸に聴診器をあて、女の子に聞かせました。選ばれた男の子はとても誇らしげに胸を突き出していました。 「人間も犬も同じようにドキドキいう心臓を持っているんだよ。同じ動物、仲間なんだよ。なかよくしようね」 「ハーイ」 元気な声が体育館に響きました。 新潟市獣医師会では、動物たちを連れて老人ホームを訪問する活動もやっています。 ある施設に行った時の事です。一番端のほうに車椅子に乗ったおばあさんがいました。横にいた職員の方が「ほら、かわいいいね」などと色々話し掛けるのですがまったく無反応。顔も無表情のままでした。 ところが、猫を連れたボランティアの方がそのおばあさんの膝の上に猫を乗せたとたん、おばあさんの顔が一変したのです。今まで無表情だった顔がくしゃくしゃにゆがみ、涙を流し始めたのです。そして右手でゆっくりと猫を撫で始めたのでした。 そのおばあさんがどんな人生を送ってきた方かは分かりませんが、つい色々想像してしまい、私も目の奥に熱いものを感じてしまいました。何とか視線をずらして涙を流さずにすみましたが、とても心が温かくなった午後でした。 |
2005-11-25