動物と話す おはようございます。 私が今獣医をやっている理由のひとつは、子どもの頃に読んだ「ドリトル先生」という本の影響があるのかもしれません。ドリトル先生は動物の言葉を話せるお医者さんでした。 その本の影響というわけではないのですが、私も普段の診療中になるべく動物に話しかけるようにしています。もちろん動物の言葉は分かりませんから普通の日本語ですが、注射を打つときには、「はい、そんなに痛くないよ」などと言いながら打っています。 他にも無意識に色々と話しかけながら診察しているらしく、時々飼い主さんが自分に話しかけられたと勘違いして、返事をしてくれることもあります。 こちらの言っていることが全て伝わると思って話しているわけではないのですが、なんとなくニュアンスは伝わっているような気がします。 たとえば、言葉の分からない外国に旅行に行ったとき、病気になって病院に行ったとします。 外国人のお医者さんに注射される事になったときに、無表情で無言のまま打たれるよりは、笑顔で、分からない外国でもよいから優しげに話しかけながら打ってくれた方が落ち着くと思いませんか。 たぶん動物たちもそうだと思うのです。 以前にもお話しましたが、私は青年海外協力隊員としてラオスに行っていました。派遣前に3ヶ月間合宿で語学訓練を受けるのですが、そのときの先生はラオス人でした。 先生はラオスから来たばかりで英語も日本語も分からず、初めのうちはひとつの単語の意味が理解できるまでに30分もかかることがありました。でも、先生は最後まであきらめずに熱心に説明してくれ、なんとか理解することが出来ました。 実際にラオスに行ってからも、田舎に行くと特に言葉が通じにくく困ったこともたびたびありましたが、雰囲気で理解できることも多く、なんとか2年過ごすことが出来ました。 海外旅行に行ったときにあるお店で関西のおばさんたちの団体と一緒になったことがありますが、そのおばさんたちの関西弁は私の下手な英語よりもよっぽど良く通じていました。 声の出し方も重要な要素だと思います。 猫なで声という言葉がありますが、確かに猫は大声や甲高い声は苦手かもしれません。一般的に猫は子供が苦手で、お年寄りのそばの方が落ち着くようです。コタツとみかん、猫とお年寄りというのは絵になると思いませんか。 その一方、犬はハッキリした声が好きなようです。 私も診察室で動物に話しかけるときには、猫には低い声、犬にはハッキリした声で話しかけるようにしています。 動物と人間を一緒にするわけではないのですが、何か伝えたい時にはとにかくことばにしてみるという事が大事なのだと思います。 |
2006-02-03