ラオスでの予防注射 おはようございます。 私が協力隊員としてラオスに行った頃は、ラオスが社会主義国から脱皮し、自由主義国に向けての扉を開放して1年位の頃でした。 首都のビエンチャンには色々な国の大使館があり外国人も多かったのですが、私の行ったサバナケットという町にはほとんど外国人がいませんでした。現地にもともと住んでいる中国人やベトナム人以外、外国人は私たち協力隊員数名だけでした。 以前はロシア人も住んでいたようですが、ソ連の崩壊に伴って本国に引き上げたのだそうです。 町の中心から10km地点には検問所の跡がありました。私が赴任する少し前までは、外国人はそれ以上町を出てはいけなかったのだそうです。 派遣前の講義で、「現地の人との付き合いは職場だけではありません。小さな町に赴任すれば、1日の生活全てを現地の人に見られているようなものです。職場で仕事を教えるだけではダメなのです。私生活も見られていると思って生活してください。」と言われました。 ちょっと大げさですが、確かにそれに近い状況だったかもしれません。職場に行くと「昨日あの店にいたな」なんて言われる事は良くありました。 現地の人たちは外国の文化や知識をまったく知らないわけではないのですが、テレビを持っている人も少なく、本もあまりないので、間違って覚えていたり、誤解していたりすることも多々ありました。 始めて現地の人たちが犬に狂犬病予防注射をする光景を見たときは、大変驚きました。犬の口を紐で縛り、4・5人で犬を仰向けに押さえつけ、太腿の内側に注射していたのです。 狂犬病予防注射は皮下注射でよいのに、太腿の内側の敏感なところに注射するので犬は痛がって暴れました。 なぜそうするのか職員に聞くと、学校でそう習ってずっとそうしていたからというのです。たぶん昔外国人の獣医が太腿の内側の血管から採血しているのを見て、現地の人が間違って伝えたのではないかと思います。 狂犬病注射は皮膚に余裕のある首筋やお尻に皮下注射すれば良いことを伝え、実際にやって見せました。もちろん犬はあまり痛がらず、暴れることもありませんでした。 その光景を見てやっと職員たちは納得し、それからは予防注射のたびに大勢で犬を抑えつけるということはなくなりました。 国際協力と言うととても大げさに思え、物やお金をどしどし使うというイメージがありますが、日本ではごく初歩的で常識的なことを伝えるだけでも役に立つことがあるのだということを学んだ一件でした。 |
2005-11-11