ブルーバード・ブルース・バンド

ギターに初めて触れたのは中学1年生のころでした。学校帰りに友達のD君の家に遊びに行ったときに、D君のお兄さんに幾つかのコードを教えてもらったのがきっかけでした。

 

家に帰って探してみると、叔母が使っていたらしい弦が錆きったクラシックギターが見つかりました。さっそく楽器屋で新しい弦とギターの本を買ってきて練習しました。

 

初めて人前でギターを弾いたのは、1年生のクラス替えのお別れ会でした。

 

D君と二人でギターを弾く事にしたのです。曲目はビリーバンバンの「白いブランコ」に決めました。当日まで各自練習する事にしました。

 

本番前、入念に音合わせをしてクラスのみんなの前に立ちました。

 

カッコ良く二人で歌いだすつもりでした。でもなぜかおかしいのです。二人のギターの音が、違っていたのです。どっちの音で歌いだしたらよいのか分からず、歌うことも出来ません。

 

結局D君がギターを弾き、私が歌いました。

 

二人ともギターの調弦の仕方は知っていて、それぞれのギターはそれなりにあっていたのですが、お互いのギターの音を合わせなければいけないということを知らなかったのです。基準にした音がずれていたため、お互いのギターの音がずれていたのです。

 

高校に入って初めての夏休み、エレキギター欲しさに初めて近所の酒屋でアルバイトをしました。

 

エレキが手に入ると、次はバンドがやってみたくなります。

 

ある日、中学時代からの友人K君とD君の家に遊びに行きました。ギターの話になり、K君がギターを弾いてみる事になりました。

 

K君の演奏を聴き、驚きました。私やD君がやっていたコードを押さえるだけの演奏ではなく、完璧にリードギターを弾きこなしていたのです。中学時代、K君がギターを弾けるなんて事はまったく知りませんでした。

 

しかも、K君が好きな音楽はフォークソングや歌謡曲ではなく、ブルースでした。K君が持ってきたブルースのレコードは衝撃的でした。単純なコード進行なのに、心を打たれるものがありました。ジュニア・ウェルズ、マジック・サム、王道のBBキング。いろいろなレコードを夢中で聴きました。

 

さっそくブルースバンドを結成する事になり、バンド名はレコードの曲名からとって、「ブルーバード・ブルース・バンド」と決めました。リードギターとボーカルはK君、サイドギターはD君、他の高校に進学したT君がドラム、私はベースギターをやる事になりました。練習所はT君の家の土蔵でした。

 

「ブルーバード・ブルース・バンド」は、高校の3年間文化祭などで活動し、自然消滅しました。

 

その後、K君は「ローラーコースター」というバンドに所属し、プロのブルースギタリストになりました。

 

数年前、高円寺のライブハウスに演奏を聴きに行った時には、高校時代に使っていたギターで、そのころやっていた曲を何曲もやってくれました。他の観客には分からない、私だけの贅沢な時間でした。

 

2005-10-21

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